「ちょっと超えたよね、あの曲は」

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――今回のアルバムは、とにかく疾走曲が多いですからね。

悠:そうですね(笑)。そういうスピード・メタル曲の場合、細かいことをやっても聴こえないし、逆に邪魔になるだろうし、ストレートにはつけさせてもらいましたけど、今回はメンバーからのドラムに対するインプットが、一番多かったとは思います。たとえば、「PANTHEON」のラストで盛り上がっていくところは、苑のアイデアがありましたし、彩雨が作ってくる曲は、ドラマーにない引き出しをいっぱい引き出してくれるんですよね。逆に任せてくれたのが燿なんですけど、「SYMPOSION」とか、「何度目かのプロローグ」とか、この手の8ビート系は久しぶりだったので、面白かったですね。

苑:とはいえ、無理ばっかり言ってるわけじゃないですから(笑)。「Curse Of Blood」とかは、「どこまでのテンポだったら2バスいける?」ってちゃんと確認して、そのギリギリのラインで攻めましたから。

彩雨:でも、ちょっと超えたよね、あの曲は(笑)。

悠:僕、普段、「BPM170まで」って言ってるんですよ。まぁ、去年録った「SHINE ON」が172だったから、その時点ですでに超えてたんですけどね(笑)。ただ、「Curse Of Blood」みたいな曲は今までなかったので、そこは俺が頑張ればいいかなと思って(笑)。

――その「Curse Of Blood」ですが、確かに「まさか!?」と思わせる曲でしょうね。イントロから、ヘヴィで邪悪なイメージのリフに導かれて。

彩雨:その邪悪さはギターが出してくれましたね。この曲に関しては、もうギターはJaYくん丸投げしたんですけど、彼は邪悪な音使いが好きなんですよね。JaYくんには、やりすぎて、うちらに怒られるぐらいがちょうどいいって話を前にしたから、楽しみながら、いろんなアイデアをどんどん出してくれるんですよね。この曲だけじゃないですけど。

苑:「PANTHEON」のギターを彼が最初に上げてきたときは、イントロも白玉とかルート弾きだったんですよ。でも、いやいや、そういうことじゃないでしょ、ホントはもっとやりたいでしょって、もう一回投げたら、この超詰まったやつが来てね(笑)。

――様子見してたんでしょうね(笑)。でも、「Curse Of Blood」を聴くと、彼が摩天楼オペラで何を求められているのか、すごく自覚するところはあったんじゃないですか? ギター・ソロなどもかなりいいプレイをしていますよ。

苑:ギター・ソロは本人が一番納得できたというか、気に入ってるって言ってましたね。ちょっと悔しいですよね(笑)。あの変態系ギター・ソロを頭で理解して弾くっていうのが。だいぶ頭のいいギタリストじゃないですか(笑)。
この曲もイメージしていた以上になりましたね。
 僕が作るヘヴィ・メタルというのは、メロディック・スピード・メタルに偏るんですよ。ただ、ライヴでドラマ性をつけるには、絶対に激しい曲は必要ですし、アルバム1枚とっても、全部がメロスピだと、一つ一つの大事にしていたメロディとかが流れていっちゃうんですよね。だから、こういう激しいだけの曲みたいなものが欲しかったんですけど、そこでどんなものが相応しいのかと考えたときに、スラッシュ・メタルが思い浮かんだんですね。そこで悠からMETALLICAとANTHRAXとSLAYERを聴かせてもらって、なるほど、みんなはこの激しいメタルで暴れてるんだなと。そこを理解して作りました。

――その3バンドの音源を今になって聴いたというのが意外ですね。

苑:たとえば、METALLICAの「Battery」とかは知ってましたけど、僕の一番好きなメタルではやっぱりないんですよね。だけど、メロディはあまりないけど、ガツガツ感、ゴリゴリ感はカッコいいなと思って、そういう要素を自分の中に取り込んで、自分色に出した感じです。スラッシュ・メタルな人からすれば、全然スラッシュしてねぇよってところかもしれないですけど(笑)、ここが僕なりのスラッシュ・メタルでした。

悠:HELLOWEENでいう「Savage」みたいな感じかな。あれもマイケル・キスクが、ANTHRAXを聴いて、カッコいいと思って書いた曲だったはずなので。
苑がその中で一番カッコいいと思うって言ってたのもANTHRAXだったんですよ。何かよくわからないけどスゲェっていうのは、SLAYERだと思うから、意外な答えだったんですけど、ヴォーカリストにしてみれば、その3バンドの中だったら、ANTHRAXが一番歌えますもんね。まぁ、この曲は、一部分以外は、ずっと頭を振ってもらって差し支えない出来になってます(笑)。

彩雨:これも完全にギターが入ってから、その邪悪さに付き合うキーボードを入れたんですけど、僕の中のサビのイメージは、結構ホーリーで壮大な感じなんですよ。だからこそ、リフの邪悪さがより際立ったのかなと思うんですね。実際にクワイアっぽい音も入ったり、チャーチ・オルガンっぽい音もあえて入れたり、邪悪さとホーリーさの絶妙なバランスを強調してみたんですよ。

燿:僕は、とりあえずこれは刻むしかないなと最初に思って、全部ピックで弾いたんですけど、多分、普段からピック弾きのベーシストでも、この刻みは難しいだろうなっていう(笑)。この速さで、オルタネイトでちゃんと鳴らさなきゃいけない。あとは、遊びもちょっとだけ入れてて……一瞬の「Creeping Death」(METALLICA)を(笑)。

――曲名は“血の呪い”という意味ですが、歌詞を象徴したものですよね。

苑:さっきの<歴史を繋げて>にも通じるんですけど、受け継がれて、受け継がれて、この血が繋がってきている。そうやって、引き継がれた血で、俺も戦うんだぜっていう。そういう力強さを曲の激しさから感じたんですよね。でも、よくも悪くも、ある意味、自分の血統に縛られてるじゃないですか。そこから血の呪縛というような意味合いで、タイトルをつけたんですね。

――それは自らに与えられた運命でもあると。続く「ICARUS」は、様々な人が採り上げてきた題材ではありますが、ここでは自分たちと重ね合わせる内容になっていますよね。

苑:そうですね。だいぶ自分に寄せて、本来のイカロスとはちょっと違う話にはなってますね。

――視点が面白いですよ。<満ちて死んだのか? 後悔を抱えて死んだの?>なんて、考えたこともなかったですから。

苑:マジっすか? だって、太陽に近づくなと言われてたのに、わざわざ「俺はまだまだ行けるぜ」って飛んでいったわけじゃないですか。でも、「やっぱりダメでした。やめとけばよかったな」と思ったのか、「やるだけやったぜ」と思ったのか、ちょっと気になるところではあったんですよね。

悠:でもさ、太陽が本当に熱いかっていうことも、本当はわからないわけじゃん?

苑:その設定はちょっと読み取れないけど、近づいたらロウがとけるって教えてくれているのに、俺は行けるぜって行くから……。

悠:でも、それはおじさんが言ってるだけでしょって思ってたのかもしれないしね(笑)。
苑:かもしれない。そう考えると、今でこそ、太陽は熱いということはみんな知っているけど、この当時は、「じゃあ、俺が確かめてやろう」だったかもしれない。でも、そういった行動力とやろうと思った心、そういうのが強いなと思ってね。

――<翼は生えない〜>というサビの一節に、自分の使命、やるべきことに忠実に進んでいくんだという気持ちが表れてますよね。

悠:でも、これって確かに気になるよね。僕もこういうことをよく思うんですよ。ちょっと違うんですけど、今日、ちょうど野球で日本代表が負けたんですけど、途中でエラーした人がいて、最後にその人の打席で試合が終わったんですよ。そういうシーンを見ると、勝ち負けよりも、その人の心理のほうが気になるというかね。

彩雨:「 PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持った者だけだ」みたいな?

悠:そうそう、ロベルト・バッジオ。

彩雨:それに通じるところがあるよね。イカロスじゃないとわからないんだよね、その気持ちは。だから、これはどうなんだろうって、みんなで考えることが重要なのかもしれない。目の付け所がいいね、この「ICARUS」は。


keyborads 彩雨

――曲そのものはメロディック・パワー・メタルのようで、いろんな展開やメロディがあり、摩天楼オペラの音楽性の広さもよくわかる曲だと思いますよ。

苑:僕の中では、ネオクラシカル・メタルでしたね。こんなにヘヴィ・メタル、ヘヴィ・メタルって言ってて、しかも、スラッシュ・メタルにまで手を伸ばしたのに、何で好きなネオクラを入れなかったんだろうと思って、最後に作りました。それで、またJaYが、ちょっとイングヴェイ(・マルムスティーン)したんですよね、ソロで(笑)。

――間奏からその次の展開にかけて、キーボードがフィーチュアされる場面もありますね。

彩雨:そうですね。この曲は短いわりに、いろいろ展開するのがいいなと思ったんですよね。キーボード的には、ちょっとミュージカル要素みたいなところを意識して、あのおどろおどろしい感じのイントロを作ったり、ちょっと雄大な感じで聴かせるサビにしたり。わりと展開がめまぐるしく変わるんだけど、いいバランス感で仕上がったなと思いますね。ヴォーカルとキーボードだけに落ちるところも、非常に自然にうまく入ったと思いますし、ギター・ソロもそういうところを汲んで入れてもらったし。すべてが絶妙にアレンジできたなと思いましたね。エレピの音もいい感じに渋くて。明るくもなく、暗くもない、何ともいえないところに上手く辿りつけたなと思いましたね。

燿:この曲は何だろうなぁ……歳をとったなと思いましたね、録り終わってから(笑)。

――どういうことですか?(笑)

燿:アレンジを考える時って、ドラムに合わせていくか、歌に寄せていくか、まったく別のものを入れるか、3パターンで考えることが多いんですけど、この曲は歌メロが結構メロディアスだから、数年前だったら、そこに裏メロとか入れたくなってたのかなと思うんですよ。でも、今回はコード進行も結構速かったりするので、4分で合わせていって、ドラムの3連のキックを活かすような、平べったいイメージでベースは弾いてます。



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摩天楼オペラ
new album「PANTHEON -PART 1-」
2017.4.12 release
(初回限定盤)
「PHOENIX」Music Video,「PANTHEON」Music Videoを収録したDVD付き
BZCS-91152 ¥3,241(+TAX) 
(通常盤)
BZCS-1152 ¥2,778(+TAX)

01.PANTHEON
02.Curse Of Blood
03.ICARUS
04.Mammon Will Not Die
05.Excalibur
06.AM6:00に針路をとれ
07.SYMPOSION
08.何度目かのプロローグ
09.SHINE ON
10.止まるんじゃねえ

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