「英雄のような強さで」

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――つまり、一般的なセオリーに則らなくとも、摩天楼オペラの確立した世界は構築できるということですね。収録された10曲の中で、最も古いのはどれになるんですか?

苑:「PANTHEON」です。骨組みは3年前とかにはありましたね。メインとなるサビと最初のインパクトのイントロは当時のままで、その他のところは今のアレンジになってますね。そのときは「165」という仮タイトルでしたけど。

悠:BPM=165だったんで(笑)。ちょうど『AVALON』(2014年)の曲出しのときだっだと思うんだよね。

苑:そう。あのときは他にアルバムのコンセプトに合った曲があったしね。そういった場合、僕は曲をどんどん捨てちゃうんですけど、この曲に関しては、燿さんがすごく気に入ってて、その後も「またどこかで使いたいね」とよく言ってくれてたんですよ。だから、僕もずっとストックの中にしまっておいたんですけど、今回、ヘヴィ・メタル・アルバムを作りましょうとなったときに、「あの曲は今じゃね?」というふうになって。そこから大サビを作ったんですけど、その手応えが確かなものだったので、これはタイトル・チューンだなと。

悠:ホントに大サビがついた瞬間に、これでばっちりじゃんって思いましたね。ここがどんなふうにライヴでお客さんにアピールするか、すごく楽しみですね。

燿: 3年前に聴いてから、定期的には「あの曲はいいね」って言ってきましたけど、今ならではの、いい曲になったなと思います。

苑:出来上がってみたら、ちゃんとうちらの心境の曲になってるんだよね。

――その話にも通じると思いますが、曲名の由来については?

苑:聴いてくれているお客さんたちを惹き付けていける力、そういう力が欲しいなと思ったときに、<英雄のような強さで>ってワードが出てきたんです。やっぱり英雄って強いものだし、人を惹き付けていける突破力みたいなものを持っているのが英雄だと思うんですよ。そういう英雄の心を持った人たちが集まる場所。“PANTHEON”には、そういう意味があるらしいんですよね。さらには、このアルバムたちの力強い主人公たちが集まる場所。それが『PANTHEON -PART 1-』というアルバムなんだというイメージですね。

――そういう歌詞を書きたいと思う心境の背景には何があったんでしょう? 新たな自分たちを見せたかったということですか?

苑:いや、こういうふうに見せたいとか、見られたいというのは一切ないです。そのときの自分の気持を歌にするのが、一番聴き手の心に届く。それがここ数年感じていることなんですね。今の自分の気持ちに偽りないことを、歌詞にそのまま書くことで、曲としてのパワーがグンと上がる。言ってみれば、そういう手法が、今、人に自分の作品を伝える上で、一番大事にしているところなんですよ。

――<生きていく 歴史を繋げて>という一節がとても印象的だったんですが、ここはどんな意味合いで書いたんですか?

苑:やっぱり、たくさんの人の人生があって、その繰り返しの果てに、今生きている人たちがいる。そして今度は僕たちが、子供を産み、その次へとつなげていく。つまり、歴史のはざまにいるわけですよね。だからこそ、バトンを渡すためにも、全力で生きるべきなんだよなと思って。

彩雨:前へ進む押し出し感と希望、プラスかマイナスかでいうとプラス。『PHOENIX RISING』のときもそうなんですけど、『PANTHEON -PART 1-』もファンタジー的な要素はありつつも、歌詞の内容は生活の中にあるようなことなんですよね。そういうところはホントに昔から変わってないうちのスタイルだなと思います。

――曲そのものは摩天楼オペラらしい疾走メタル・チューンですが、レコーディングでは、この曲ならではの面白さもありました?

苑:男子限定、女子限定のライヴを、いつも2月にやってるんですけど、それが終わって翌々日ぐらいのレコーディングだったんですよ。今年の男子限定、女子限定は、とにかくノーマイクで叫ぶことが多くて、喉がガラガラになるまで煽ったりしてたんですよ。そのときはそのときのことしか考えてないので。だから、聴いている人にはわからないかもしれないけど、他の曲たちよりも、少しかすれ気味の声で歌ったのをすごく覚えてます。
 そう言うと、「なんでその日に録ったんだ」とか、「録り直せばいいじゃないか」と言う人もいると思うんですけど、それは違うんですよね。やっぱり、そのときに録るというのが大事なんですよ。たまたまライヴをやったからその声になった。さっきの話にも通じますけど、それが偽りのない、そのままの僕なんですよ。


vocal 苑

 

――疲労で声が出ない状態ならまた別の話ですが、今回は結果として、「PANTHEON」により相応しい声になっていたとも言えそうですね。

苑:そうですね。振り返ってみれば、結果的にはそういうふうに曲が呼んだのかなと思えるものになりましたね。たとえば、Aメロの悲壮感が漂うようなものは、もともとそういう表現を考えていたんですが、なおさらその声によって、強まったかなって。

――声そのものが醸し出す魅力は、単なる表現力とは別の力を持ちますからね。楽器陣のみなさんはどうでした?

燿:この曲はずっとピックで弾こうと思ってて、レコーディングのときもそうしたんですけど、そこでディレクターから、「ピックじゃなくて、指で弾け」という指令があって、その場で初めて指で弾いたんですよ。でも、このAメロとかは、16分も入れて刻んでるんですけど、3年前にこの曲が来たときは、俺は弾けなかったんですよね。しかも、今回のアルバムでは、9.7割ぐらいはパッシヴで弾いてるんですよ。

――それはすごく大きな変化じゃないですか。

燿:ベーシストしかわからない話ですけど(笑)。

――極めて簡単に言えば、アクティヴ回路のピックアップよりも、パッシヴ回路のピックアップのほうが、弾いたそのままの音がより出るために、繊細な表現が可能になるということでしょうね。

燿:そうですね。右手のピッキングにしても、左手の弦の押さえ方にしても、ちゃんとやらないと音が切れちゃったり、音量がバラけたりする。

彩雨:そもそも何でパッシヴにしたの?

燿:パッシヴのほうが、音が広がらないから。アクティヴにすると、どうしても音が増幅されるから、ちょっとピッキングしても音は出るんだよね。毎回、音作りは試行錯誤してるんですけど、バンドのサウンド的に、結構広い帯域を使っているし、速い曲は特に、低音のフレーズは音がつながっちゃう。そういったところで、パッシヴのほうが全体的に整理もしやすいし、ベースの音自体も前に出てくる。そう思ってやってはみたんですけど、結構大変でしたね。いい勉強になりました。

苑:ヘヴィ・メタルって、ルート弾きが多くなるじゃないですか。そういう中で、一つ一つのピッキングの粒がちゃんと見えたほうがいいし、しかも、それが今の燿さんならできるという、ディレクターの判断だったと思うんですよね。

悠:そういうことだろうね。ドラムに関しては、最初に曲が出揃ったときは、2バスばっかじゃねぇかと思って。



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摩天楼オペラ
new album「PANTHEON -PART 1-」
2017.4.12 release
(初回限定盤)
「PHOENIX」Music Video,「PANTHEON」Music Videoを収録したDVD付き
BZCS-91152 ¥3,241(+TAX) 
(通常盤)
BZCS-1152 ¥2,778(+TAX)

01.PANTHEON
02.Curse Of Blood
03.ICARUS
04.Mammon Will Not Die
05.Excalibur
06.AM6:00に針路をとれ
07.SYMPOSION
08.何度目かのプロローグ
09.SHINE ON
10.止まるんじゃねえ

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