新たな歴史の始まりを告げるアルバム。『PANTHEON -PART 1-』は、そういった性格を有する作品だろう。『PHOENIX RISNG』で完全復活を印象づけた摩天楼オペラは、未来へとつながる次なる飛躍を遂げようと、飽くなき前進を続けている。結成10周年のアニヴァーサリー・イヤーを迎える今、苑、燿、悠、彩雨は何を思うのか。自身の音楽的基盤を強固に押し出した『PANTHEON -PART 1-』に耳を傾けながら、彼らの言葉をじっくりと噛み締めたい。

(取材・文●土屋京輔)

PAGE1「ヘヴィ・メタルが揺るぎない軸」
PAGE2「英雄のような強さで」
PAGE3「ちょっと超えたよね、あの曲は」
PAGE4「一歩間違えれば、超カッコ悪いタイトル」
PAGE5「“PART2”がありますよってこと」

 

「ヘヴィ・メタルが音楽的に揺るぎない軸」

――昨年10月にリリースされた『PHOENIX RISING』は、新体制となった摩天楼オペラが、まさに不死鳥のごとく舞い戻ってきたことを頷かせるミニ・アルバムだったと思いますが、メンバー自身は作品自体をどのように捉えているのでしょう?

苑:『PANTHEON -PART 1-』ができた今から思えばですけど、もちろん始まりの一歩ではあるんですが、追い込まれ感からの突き抜けようという意志がすごく感じられるアルバムだなぁとは思います。あのときは、ただ「行くしかねぇ!」ってところでやってましたからね。

悠:振り返ってみると、あの6曲が、すごく自分たちらしいヴァリエーションに富んだ感じになっていて、なおかつ、今までよりヘヴィ・メタルに向かっている、まさに始まりだったんだなと思いますね。やっぱり、「PHOENIX」が大きな一歩の曲になったんですけど、作っているときは、正直、自分の中ではまだよくわかってなかったんですよ。ところが、ライヴでやってみて、お客さんの合唱を聴いたときに、そういう(新たな始まりの)曲になったんだなという実感が初めて湧いたんですよね。

彩雨:そうだね。バンドとして打ち出すものが、よく見えた作品になったなと思いますし、仕上がりにもすごく満足してたんですけど、去年のツアーのファイナル(2016年12月9日=東京・新宿BLAZE)のときに、僕らがステージから去った後のお客さんの歌が凄かったんですよね。そこで「PHOENIX」がもう一つ昇華したなという感じがしましたね。

燿:サウンド的には、今までやってきたものと、そんなにかけ離れてはいないんですけど、その中でも一番パワーや勢いがあったかなという印象はありますね。最初に苑くんから「こういう曲をやりたい」って曲が届いたときにも、力強さを感じたんですが、どの曲でもメンバー全員の顔が見えるんですよね。

――メンバー脱退という、ある種の追い込まれた状況だったからこそ、「それでも俺たちは前進するんだ!」という強い気持ちが、そのまま反映されたように感じるんですよ。ギタリストとしてサポート参加したLeda(DELUHI〜FAR EAST DIZAIN)も、盟友たるみなさんの気持ちを感じ取ってプレイしていたと思いますしね。ただ、あの力強い作品をどのように越えていくのだろうかと、正直思いましたよ。だからこそ、『PANTHEON -PART 1-』が届いたとき、安心したと同時に、摩天楼オペラのポテンシャルの高さを思い知らされた。メンバー自身も、かなり良好な手応えがあるでしょう?

苑:はい。まず、『PHOENIX RISING』からの流れをそのままつないでいく、そして今、4人でできるヘヴィ・メタルを作るというコンセプトがあったんですね。そこで実際に完成して聴いてみたら、とにかくカッコいいんですよ。中学生とかがホントに好きそうなワクワク感が散りばめられてるなぁと。もちろん、大人も好きだけど(笑)、何の説明もなしに、パッと聴いたときに「何かカッコいい」って思えるのが、音楽って一番カッコいいと思うんですよね。

燿:『PHOENIX RISING』は全員の顔が見えるって話をしましたけど、野球で言うと、全部フル・スイングみたいな気持ちだったような気がしてて。今回は、フル・スイングもありながらも、バントもできるぐらいの感じ(笑)。だから……ちょっと何だろう?

――バントって、地味だなぁ(笑)。いえ、作戦、技術としてはとても大切です(笑)。

燿:そうなんですよ(笑)。どんどん進んでいく気持ちは前面に出ながらも、ちょっとした余裕があると言うのかな。それは作り終えてから思いました。

彩雨:今日も聴きながらここに来たんですけど、すごくストレートな曲たちが集まって、サクッと身体に入ってくるアルバムになったなと思うんですよ。今回は曲作りのときから、あんなこともできる、こんなこともできるっていうのを、そんなに売りにしてなかったんですよね。それはそれで大事なことですけど、それをアピールするよりも、ヘヴィ・メタルという大きな一本の軸を念頭に置いて、アルバムをちゃんと作れたのはよかったなと思いましたね。

悠:とにかく今回も時間がなくて、レコーディングも短期間に集中して、結構なスケジュールで進めてたんですよ。だから、そのつど1曲1曲を見るしかなかったんだけど、マスタリング作業とかで聴いたときに、やっと全体像が見えたかなって。自分の中では、ですけどね。聴かせる部分にしろ、スピード・チューンにしろ、今までよりも、もっと打ち出しはヘヴィ・メタルしてると思うんですよ。さっき苑が言ったように、何かよくわからないけどカッコいいっていうのは、今までのアルバム以上にあると思います。

燿:野球で言うと?

悠:1曲目から冠の曲だし、アルバムの中心になってるんで……先頭打者からホームランって感じだね。

彩雨:いいたとえだね。説得力があるよ。

燿:確かにそういうのはルールを知らなくても楽しめるもんね(笑)。

――それこそフル・アルバムで言えば、『地球』(2016年)とは対照的な内容と言えますし、明らかにヘヴィ・メタルが音楽的な揺るぎない軸になっていたことがわかりますよ。

苑:やっぱり僕たち4人になって、さぁ、もう一回、再出発しますよってときに、何が一番摩天楼オペラらしいか、何が一番望まれているか、何が一番やりたいか、この10年を遡って探したんですよ。そのとき、一番の武器となる、核となるものはヘヴィ・メタルだよねって。でも、どストレートなヘヴィ・メタルのアルバムって、これまで一度も作ったことがなかったんですよね。それならば、今こそ、自分たちの武器を自覚したうえでの勝負をやるべきなんじゃないかと思ったんですよ。

――ただ、とかくヘヴィ・メタルという音楽は、パートとしてのギターの重要性がありますよね。そこにリスナーも耳を傾けると思うんです。ところが、摩天楼オペラは正式なギタリストが不在の状態にある。そこはどのように考えていたんですか?

苑:正直、そんなことはまったく頭の片隅にもなかったです。やりたいからやる、作るべきだから作る。それだけでしたね。

燿:僕はいないからこそ、なのかなと思ってた。確かにヘヴィ・メタルというと、ホントにギターありきの音楽じゃないですか。実際に僕たちが今までやってきた音楽にはギターがあったし、どうなるんだろうって、心配している人はいっぱいいたと思うんですよ。でも、正式なギタリストがいなくても、摩天楼オペラはいけるんだってことは、このアルバムでわかってもらえると思うんですね。


――そういう自信があったということですよね。

燿:そうですね。さらに言うと、メンバー4人で作ったものに対して、JaYくんのいいギターが加わることで、考えている以上に素晴らしいものが作れるんじゃないかなとも思ってたんですよ。ヘヴィ・メタルの場合、ギターのリフから作るパターンも結構多いじゃないですか。もちろん、今回もそういう曲はあるんだけど、ギターがない状態での構成から決めて、後からギターが入ってくるという手法をとったとしても、こういった思い描いていた通りの音楽になる。



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摩天楼オペラ
new album「PANTHEON -PART 1-」
2017.4.12 release
(初回限定盤)
「PHOENIX」Music Video,「PANTHEON」Music Videoを収録したDVD付き
BZCS-91152 ¥3,241(+TAX) 
(通常盤)
BZCS-1152 ¥2,778(+TAX)

01.PANTHEON
02.Curse Of Blood
03.ICARUS
04.Mammon Will Not Die
05.Excalibur
06.AM6:00に針路をとれ
07.SYMPOSION
08.何度目かのプロローグ
09.SHINE ON
10.止まるんじゃねえ

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